ゲームを開始すると、いきなりラスボスである魔王との闘いから始まるRPG!
それなのに、自分はなぜここにいるのかも思い出せない始末。かくして勇者「バック=フラッシュバック」はこれまでの冒険を思い出しながら、目の前にいる魔王を倒す「世界一長い5分間」の戦いを繰り広げることになるのでした…
ここが面白い
「勇者として魔王を倒しに行く」という王道のストーリー展開
世の中にはたくさんのゲームが出ていますが、スーファミ全盛期の頃のゲームと言えばコマンド式RPGでした。
世界一長い5分間はこの頃の「勇者として魔王を倒しに行く」という王道RPGを意識したストーリー展開になっていて、「海にモンスターが出てしまったために寂れた港町」「「禁断の魔法を完成させる材料を集めるためダンジョンに挑むストーリー」など、なんとなく覚えのあるストーリーがある点は懐かしく楽しめます。
「思い出パート」に描かれている物語は、ゲーム上は主人公「バック」の思い出ですがその先にはプレイヤーがあの頃体験していたRPGを意識した作りになっています。「あぁ、RPGってこういうイベントあるよなぁ!」と懐かしい気持ちになります。
「思い出システム」が描く3つの思い出
思い出システムは3つの思い出を描いています。1つ目は勇者バックが仲間たちと旅した過程を振り返る思い出。
2つ目はその「RPGとしてありがちな展開」から連想するプレイヤー自身の思い出。
そして3つ目は「小さな村の幼馴染である主人公達4人の、子どもの頃の思い出」です。
思い出システムによりダイジェスト版のようなストーリー進行をするゲームですが、子どもならではの苦悩を描いた思い出、幼馴染の仲の良さが伝わる思い出などを会話の中に挟むことでキャラクターの魅力を引き立たせることに成功しています。
コミカルに動くドットキャラが可愛い
フィールド上は2頭身しかないドットキャラですが、これがコミカルに動いてとても可愛いです。
驚いた顔、決意を固めた顔、落ち込んでいる顔など様々なパターンが用意されています。
お気に入りはバックくんの決意を固めた顔。このポーズありがち。特に意識しているのはクロノトリガーのクロノでしょうか。
町の移動、ダンジョン脱出などの面倒な部分を一部省略
思い出システムにより、必要な部分だけをプレイすることになるため町の移動やダンジョン脱出などの面倒な部分は一部省略してプレイできます。
町で悩みを解決して、ダンジョンを抜け次の町へ…という面倒な部分が無いためサクサクプレイできました。
ここが残念
思い出システムを活かしきれていないRPGパート
プレイヤーはADVの魔王戦パートと、過去の思い出のRPGパートを交互にプレイします。
このときのRPGパートが、良くも悪くも普通のRPG。
ほとんどの思い出は町から始まって、ダンジョンの奥地に移動してボスを倒します。RPGパートはこれを繰り返すだけなので、RPGにありがちなお使い感は拭えていません。
RPGとしてはかなり緩い難易度である点も作業感を増幅させます。
雑魚敵に対して全体魔法をかければダメージを食らわずに倒せてしまう程度の難易度なので、弱点や耐性などは意識せずにいつも同じコマンドを選択することになります。
そのうえ、難易度のわりにはダンジョンが無駄に広い点も残念でした。
一応、雑魚敵の解決策として「弱い敵としばらく会わなくなる魔法」を使えばダンジョン攻略のみに専念できます。
アイテムや装備を引き継げない
思い出システムで過去のRPGパートをクリアしても、その時手に入れたアイテムや装備は引き継げません。
これはRPGパートの時系列が多少前後するため仕方ない部分ではあるのですが、「ダンジョンで寄り道してレア武器を拾う」などという楽しみが一切ないためダンジョン攻略が余計に単調になりがちです。宝箱には脇目も振らず突っ走るのが最適解というのは味気ない。
ただし経験値だけはRPGパート共有なので、敵を倒せば倒すほどRPGパートはどんどん楽になります。とはいえ、レベル上げしなくても余裕でクリアできる難易度ですが…
まとめ:王道RPGの面白さを味わいたい人にはアリ
「魔王との闘いから始まるRPG」という斬新な設定ですが、蓋を開けてみると王道RPGの面白さが詰まったゲームでした。
それなりに楽しめましたが、期待していた以上の面白さは無かったかな、という印象。今なら中古で800円程度で購入できるので、あの頃の王道RPGの面白さを味わいたい人にはアリかなと思います。
Vita版、Switch版、Steam版が出ているので、プレイ環境は整えやすいタイトルだと思います。