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【SE異業種転職・退職】既婚子持ち2人の僕がシステムエンジニアを辞めようと思った理由

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SEで子持ち二人。そんな僕が、社会人6年目でSEという職業を辞めることを決意しました。その理由をまとめてみました。


※日本には380万以上の会社があり、SEという職種も会社によって様々です。これはあくまで僕個人が感じたSEという職種に対する考え方です。全てのSEが、僕がこれから書くような業務をこなしている、という話ではありません。

技術を勉強することが楽しいと感じられなかった

技術職であるにも関わらず、勉強を楽しめなかった。そりゃあ辞めますよね。

そんな人が今までSEをやっていてごめんなさい、という話なのですが大学は情報工学出身で、資格も応用情報までは持っていて高度情報技術者試験も受験していました。

その他、毒にも薬にもならない資格もいくつか所持しています。


「資格の勉強」や「体系的な知識の勉強」は、仕事をするうえで必要だったので苦なく勉強できるのですが、SEとして昇進していくうえで「もっと必要なこと」に気づいていませんでした。


その「もっと必要なこと」に気づいたエピソードを書きます。



会社の先輩と休日出勤しているときにこんなやり取りがありました。

僕「なんとか土曜の出勤だけで乗り切れそうですね。明日はゆっくり休めそう(≒ゲームできそう)で良かったー」

先輩「そうだねー。明日はゆっくりWatson API*1でもいじれそうだよ。」


この時の仕事で、Watson APIが必要だったわけではありません。先輩にとっては、休日にWatson APIで新しく学ぶことは休暇なのです。SEは平日は仕事で技術を発揮して、休日は楽しく技術を蓄える職業だったのです。


「仕事をするならどんな職業だって勉強を続けることは当たり前だ。」という人もいるかもしれません。ただSEの場合は「将来、仕事で必要になるかもしれない技術」を勉強しているんです。それは今の仕事で役立つかは関係ないんです。


未来はどうなるかはわかりません。もしかしたら仕事をするうえでは一生関わりがない技術も勉強していく。先輩がそんなことができるのは、「そもそも技術の勉強が好きだから」「勉強自体が楽しいから」に他ならないのかなと思います。



できるSEは、よく「こんなの作ってきました。」と作ってきたものを持ってきます。

僕はそういうことは、正直一切やりたくありませんでした。やっても、「昇級のためには仕方ない」と割り切って取り組んでいるだけでした。


もちろん、僕が見てきたSEの中には「今、仕事で確実に役立つこと」すら勉強しない人もいました。仕事で必要になった時に、初めてその場で勉強しているような人たちです。

SE(ITエンジニア)という職種はかなりメジャーであり働く人の割合も多いため、勉強嫌いの人でもなんだかんだ十分食べていけると思います。


ただSEとして昇進していこうと思うと、SE勉強エンジョイ勢と出世争いをすることになります。こちらは必死になって勉強しているにも関わらず、彼らは同じことを楽しいと思って取り組んでいる。これはかなり厳しいものがあるな、と就職してから気づきました。

技術の成長スピードについていけるか不安になった

僕が勤めていた会社は小さく、上司はみんな元エンジニアであったため、色々な昔話をしてくれました。


「30年前は汎用機がとても貴重だったため、新人のうちは手書きのノートでプログラムを書いていた」という話は衝撃的でした。携帯電話どころかキーボードすら一般的では無かった時代に、「システムエンジニア」として入社した人が、現在のシステムの「マネージャー」として働いています。


自分は30年後、どういう風に働いているのだろう。

現役のSEとして働くか、システムのマネージャーとして働いていけるのだろうか。

30年前に、スマホやSNSがここまで発達すると多くの人が思っていなかったように、30年後の未来はどうなるかわかりません。


システムエンジニアとして将来を考えたとき、その最前線に立つ自信が僕にはありませんでした。

SEは「何のために作るか?」を理解する能力が一番重要だと感じた 

技術職としてのSEの大変さももちろんありますが、

SEの業務をこなすうえで一番重要だと感じたことは、「業務知識」と「コミュニケーション能力」の2つでした。


一つ仕事の例を挙げます。

とある仕事で、1つの商品について前月と今月の売上差額を出す画面を新たに作って欲しい、という依頼を受けました。

そこで、「商品を選択すると、今月と前月の売上差額画面を表示」する画面を作りました。

「りんご」を選択すると、今月9月分と先月8月分の差額が表示されるような画面です。

機能には何一つバグが無く無事リリースされたのですが、結局依頼主はこの機能を使いません。


なぜ使わないのか依頼主に聞くと、以下のようなことがわかりました。

  • 機能を作ろうとした目的:多くの商品は、先月と今月で売上金額がそこまで変わらない。にも関わらず、データ入力ミス等で数値が大きく狂ってしまうことがある。

 そのような入力ミスデータを発見し、商品管理部門に問い合わせるために、前月と今月の売上差額が知りたかった


作った機能の問題点

  • 商品によって売上額が大きく異なるため、売上差額以外に売上差額比率も表示しないと数値の妥当性が判断できない。

  • 最終的には商品を管理する部門に問い合わせる必要があるが、商品差額画面からは該当商品の管理部門がわからず別機能で再度検索する必要があり使いづらい。


こんなわかりやすい要件定義ミスは実際にはあり得ませんが、*2SEの仕事は終始「この機能は、誰がどのような目的で使うのか」を考えて取り組む必要があるのです。


そのためには担当する業界の知識も必要になってきます。


さらに厄介なことに、「機能を実装する打合せの担当者が、直接その機能を使う本人ではないことが多い」という点があります。居酒屋で最近よくあるタブレット形式のメニューなどを想像してください。

打合せをする担当者は飲食店の情報システム部門で、実際に使うのは老若男女、様々な人がいますよね。


担当者も僕(SE)も納得のシステムが完成→現場からはわかりづらいと非難轟々…ということがあります。



「現場を巻き込んだシステム作りを!」なんて簡単に言いますが実際にはなかなか実現できず、自分のSEとしてのスキル不足を感じる日々でした。


またプロジェクトが終われば別の業界の仕事を任されることもまれに発生し、そのたびに業界知識を勉強する必要があります。

SE向いてない、と思い社内SE≒情報システム部へ転職

勉強を楽しめないし、SEとしてのコミュニケーション能力も足りていない。

最終的には僕はSEとして働くことに向いてないな、と思い異業種の転職を考えました。


とはいえもう20代後半だったので、全くの新業種でSE時代と同じくらいの給料を貰うことが難しいのは容易に想像できます。

「元SE、二児の父ですがヒップホップで同じくらいの年収を稼いでいます。」という人の数は少ないでしょう。

最終的には、SEスキルが少しは活かせそうな「企業内の情報システム部(以下、情シス部)」へ転職しました。


情シス部は「社内SE」などと言われることもある職業ですが、僕の会社の情シス部はシステム開発・構築などは一切しません。

キャッチコピーを考えるなら「雑用は総務部。パソコン使った雑用は情報システム部。」というくらい雑用のオンパレードです。


実際、社内のほとんどの作業はデータ登録、システム稼働監視、他部署からのパソコンお困り相談室です。たまにシステム改修のため、各部署から挙がる不満をまとめて他社のSEに要件を伝えることがある、といった感じです。


もしこれから社内SEへ異業種転職しようとする方がいたら、社内SEとSEはかなり異なる職種である、ということは理解しておいたほうがいいですね。 名前は似ていますが全く別物だと思ったほうが良いと思います。


もちろん社内SEも会社によって業務内容は様々ですので、転職先の会社と話すことが大切ですね。

*1:IBMが展開する人工知能「Watson」のAPIサービス。

*2:そもそも、機能が必要になった目的・理由を聞かない、なんてことがあれば先輩がすぐ指摘してくれます。